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首相官邸の記者会見オープン化/上杉隆


上杉隆の東京脱力メールマガジン
『 首相官邸の記者会見オープン化 』
ようやく首相官邸の記者会見がオープン化されるという。このサンプル号が発
刊されている頃には、読者のみなさんはこの「スクープ」を現実のものとして
受け止めていることだろう。

戦後、日本は一貫して、政府の記者会見を閉じたままで運用してきた。一部の
メディアで構成される悪名高き「記者クラブ」制度を権力が黙認することで、
不健全な「カルテル」を許してきたのだ。それは国際的に極めて評判の悪いシ
ステムであるばかりか、日本の信用を貶めるひとつの材料ともなっている。

だが、そうした権力とメディアの歪んだ「55年体制」もようやくのことで終
焉を迎えようとしている。

すでに岡田克也外務大臣、亀井静香金融大臣が会見をオープンにし、原口一博
総務大臣、枝野幸男行政刷新大臣が後に続いている。官邸の会見オープン化は、
そうした閣僚たちの動きを見て仕方なしに一歩踏み出したということなのだろ
うい。

だがそれは、政権交代から半年が経過している上にあまりに遅すぎた決断であ
るといわざるを得ない。そもそも完全なオープン化ではないばかりか、ぶら下
がり以外の首相会見と、官房長官会見の一部だけの限定的な開放に過ぎないの
だ。

日本の「記者クラブ」は、世界のジャーナリズム界において極めて有名なシス
テムだ。国民の知る権利、情報公開の見地、なにより世界中のメディアが実践
している「フリープレスの原則」の相互主義から大きく逸脱したまま、21世紀
の今なお存続している旧態依然とした制度なのだ。

「世界遺産、負の遺産に登録申請すべきだ」と筆者が再三、声を上げてきたも
のもそれが冗談にならないほど珍奇なシステムだからだ。

筆者はこの10年間というもの、政府の公的な記者会見への出席を繰り返し求
めてきた。そのたびに返ってくる答えは毎度次のようなものであった。
「オブザーバーとしての出席ならば、特例として許可する。しかし、会見中に
一切質問はしてはならない」

オブザーバーとして会見に出席して何の意味があるのだろうか。質問のできな
い会見に出るくらいならば、パソコンを開いて同時中継を見る方がマシだ。
こうした論理はもちろん日本以外では通用しない。同業者が同業者を選別して、
政府の記者会見を開催する国など世界中どこを探してもないからだ。

思い返せば、「記者クラブ」システムとの争いは、文字通りに「不毛」であり
続けた。

1999年、小渕恵三首相との単独インタビューの許可を得たニューヨークタイム
ズの取材記者として、日程の打ち合わせ中に起きた「事件」も酷いものだった。
突如、無関係の「永田クラブ」(内閣記者会)がニューヨークタイムズと首相
とのインタビューはこれを拒否する、との通告してきたのだ。その異議申し立
ての再交渉中に小渕首相は斃れ、そして帰られぬ人となった。

2001年、小泉政権が誕生すると、首席秘書官に就任した飯島勲氏の配慮で、海
外メディアも官邸に立ち入りできるようになった。ところが、知己のスタッフ
に会おうと官邸内を歩いていたある日、同業者であるはずの新聞記者からの通
報によって警護官に尋問され、そのまま門外へ追い出されてしまったのだ。

2003年、中川一郎政調会長(当時)の核論議容認発言を受けて自民党本部に忍
び込んだ時も同様だ。会見で質問した直後、自民党の広報担当と「平河クラブ」
(自民党記者クラブ)の幹事がやってきて、「不法侵入者」として私を党本部
から摘み出したのだ。

筆者は「記者クラブ」に入ろうとも、記者会見を混乱しようとも一切していな
い。単に記者会見で政治家と時の権力者たちに質問したいがためにオープン化
を求めてきたに過ぎない。だが、「記者クラブ」メディアは、過去11年間、私
のそうした小さな希望を一切認めてこなかった。

「記者クラブ」は、いまだにフリーランス、雑誌、海外メディア、ネットの記
者たちを排除し続けている。根拠のないその抵抗はいまなお世界中のジャーナ
リストの嘲笑の的となっている。

問題は、日本国内の記者会見で起きているこうした小さな出来事が、実は日本
全体の印象として海外に植え付けられていることでもある。
近年、ワシントンポスト、ロサンゼルスタイムズを筆頭に、戦前から日本に拠
点を置いていた海外メディアの多くが、東京支局の廃止および縮小を決めてい
る。

ヨーロッパやアジア、中東のメディアも同様である。いまや世界中のメディア
が日本から逃げ出しているといっても過言ではない。

戦前からの長い期間、とくに第二次世界大戦の最中ですら、通信員を置き続け
てきた三大米紙の日本から撤退・縮小は何を意味するのだろうか。

その背景には、広告費の減少による本社の経営危機という要素ももちろんある。
だが本社の財政上の問題だけが理由ではない。それならば、各社が厳しい財政
事情の中、中国各地に次々と新たな支局を開設していることの説明がつかない。

実際、今年はじめ、中国の「人民日報」には日本にとって衝撃的な記事が載っ
た。〈海外メディア関係者は米メディアの相次ぐ撤退を機に、日本の「記者ク
ラブ」制度に対して猛烈に批判。同クラブの存在は海外メディアの与党あるい
は政府の記 者会見への自由な参加をないがしろにしていると指摘した。現在海
外メディアは中国関連の報道をますます増やしており、その理由には中国の台
頭が背景にある のはもちろんのことだが、「記者クラブ」制度が中国にはなく、
より簡易に取材できることも、同時に認められるべきだろう〉(「人民網日本
語版」2010年1月8日)

あの言論の自由がない、とされる中国の、しかもあの「人民日報」にですらこ
こまで言われてしまうのだ。だが残念ながら誰一人反論はできな。なぜならば
それは真実だからだ。

半世紀以上にもわたって、日本に駐在する海外特派員は、世界中のジャーナリ
ズムのルールに則って、記者会見への参加を求めてきた。それを拒んできたの
は「記者クラブ」に他ならない。
もちろんそれだけが理由ではないが、海外メディアの多くは日本ではなく、中
国関連のニュースばかりを出稿し、記事にしている。
その理由には「人民日報」の記事にもある通り、国家の発展という背景のみな
らず、記者クラブ制度のない中国の方が少なくとも政府の記者会見には出席で
きて取材をしやすいから、という点を認めるべきだろう。

筆者が、記者クラブ問題の異常性に最初に触れたのは、ニューヨークタイムズ
で働き始めたばかりの頃だった。同僚の特派員たちが異口同音に日本の一流メ
ディアを罵っていることに驚いたものだった。

普段、ユーモアたっぷりで冷静な物腰の支局長までもが、日本の同業者の話に
なると途端に感情を露わにし、非難の言葉を浴びせるのだった。それは本当に
不思議な光景だった。

ところが、FCCJ(日本外国特派員協会)の記者たちが、温度差こそあれ一
人の例外もなく「記者クラブ」を批判していることを知ると、その問題の大き
さに愕然としたものであった。

私自身、それまで一流だと信じていた日本のメディアへの強烈な批判を聞いて、
正直、当時は不快に感じたものだった。
だが、同業者を同業者が排除するシステムが世界中のどこに行っても存在しな
いという現実に直面し考えを変えた。

FCCJは、過去何十年にもわたって、フリープレスの原則と相互主義の立場
から、日本中の記者会見の開放を求めてきた。FCCJだけではない、「国境
なき記者団」も、EU議会も、OECDもみな日本の記者クラブを同じ理由で
批判している。

世界中のジャーナリストが一貫して求めてきたのが、日本政府への記者会見の
オープン化である。それは、世界中で常識となっているフリープレスの原則に
沿ったジャーナリズムの当然のルールである。

その相互主義の方針を唯一無視している国が日本なのである。

「われわれは日本で行われている記者会見に入れない。相互主義の立場から、
われわれが主催する記者会見では彼らを排除すべきではないか。

こうした意見がFCCJの会議では頻繁に出て論争になっている。だが情けな
いことにその度に、最後に至る結論はいつも同じなのである。

「日本の記者たちを同業者として扱えば確かにそうだ。だが、彼らの行ってい
る仕事はジャーナリストのそれではない。彼らの仕事は役所の広報にすぎない。
そう思えば、相互主義を適用するまでもない。会見に入れてあげようではない
か」

このように世界中のメディアを敵に回しても、頑として会見の開放を拒んでい
る「記者クラブ」、それはもはや喜劇の対象とさえなっている。

だが笑ってばかりもいられない。「記者クラブ」という愚かな既得権益システ
ムの弊害は、国益にも影響を与えはじめているからだ。

海外支局の新設には、カネも、人も、時間もかかる。残念ながら、一世紀近く
にわたって開き続けていた海外メディアの東京支局が日本に戻ってくることは
おそらくないであろう。

日本政府は情報発信といいつつ、自ら情報の発信源を切り、海外メディアを排
除してきた。いまや海外特派員はこれまでのように要求することも止めてしまっ
た。なぜなら、記者クラブと戦ってまで取材する魅力が、今の日本には残され
ていないからだ。

日本の信頼は、記者クラブの存在によって毀損されたといっても過言ではない。
「記者クラブ」制度を支えてきた人々は無意識のうちに自らが「亡国の徒」に
なっていることに気づいていないのかもしれない。
「記者クラブ」は、日本という国家を滅ぼそうとしている。
上杉隆の東京脱力メールマガジン http://www.mag2.com/m/0001112241.html
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■発行元:上杉隆
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