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絶対におかしい、年間被曝量の引き上げ政府による 「狂った基準」で国民のガンは多発しないか

06.05.2011 伊東 乾/JBプレス
絶対におかしい、年間被曝量の引き上げ政府による
「狂った基準」で国民のガンは多発しないか

政府は通常人の年間被曝量を20ミリシーベルト/毎年という値に引き上げました。これは従来の1ミリシーベルト/毎年の一挙に20倍の値ですが、お医者さんたちは「たいしたことない」「すぐに影響は出ない」などと鷹揚に構えています。

 ところが、内閣参与を務めていた小佐古敏荘・東京大学大学院教授(放射線安全学)は「行き当たりばったり」の破綻した政策だとして、参与の職を電撃辞任し、抗議の声明を発しました。

 ポイントはどこにあるか? 1つの注目点は「放射線管理区域」の設定です。

 私も物理学の大学生時代、放射線管理区域に隣接して寝起きの生活をしていましたので実感が湧くのですが、3カ月当たり1.3ミリシーベルトを超すエリアを放射線管理区域とし、この中では18歳以下のものを就労させてはいけないし、飲食などもってのほか、管理者は十分に神経を使わねばなりません。

 さて、この「放射線管理区域」の線量が・・・3カ月で1.3ミリシーベルトですから、年間5.2ミリシーベルトになります。

 白血病の発病を認定する労災では年間5ミリシーベルトで認定が行われるとのことですが、今の値は・・・20ミリシーベルト/毎年!

 実にその4倍の値、飲食厳禁どころか生活全般をここで行い、さらに子育てまでしようという話になっています。

 しかしこういう事情を知らないお医者さんたちは、御用学者というわけでなくても、なぜか安穏としている人が多い。それはなぜでしょうか? 今回はその理由を明らかにしたいと思います。

毒をもって毒を制す:ガンの放射線治療

 放射線の被曝によって、私たちの器官や細胞、あるいはDNAが破壊されると、健康に被害が出ます。

 しかし、この現象を逆手に取る知恵も存在しています。ガンの放射線治療はその一例です。

 原発や原爆での被曝・被爆では、どのような放射線をどれほど浴びたか、ということがはっきりとは分からないケースが多いわけです。

 しかし逆に、どういう放射線をどの程度、どの部位に照射するかを巧妙にコントロールすることで、放射能は私たちの命を救う道具としても使われています。

 具体的に考えてみましょう。ガンというのは、もともとは私たちの細胞の一部であったものの遺伝子に変化が生じて、私たちにコントロール不能な細胞(ガン細胞)が体内で増殖してしまい、最終的には命を奪うこともあるという病気です。

 先に、放射線は私たちの細胞やその中の遺伝子をアタックすると書きましたが、これは私たちの細胞だけではなく、ガン細胞やその遺伝子に対しても同様です。

 そこでX線や電子線、場合によっては陽子線や重粒子線などを患部に照射して、ガン細胞を破壊するとともに、ガン細胞の遺伝子も破壊して根治してしまおう、という治療の戦略が立つわけです。

 一般的な固定ガンの場合は総線量70グレイほどの照射でガンを退治することができるようですが、より退治しやすい白血病の場合は20グレイほどでも効果が上がることがあるそうです。

 これらはあくまでグレイで、シーベルト単位でないことに注意しましょう。シーベルトはあくまで健康を損ねる度合いであって、ガンを治すための単位は吸収線量、つまり医療用放射線の「仕事量」で測られるからです。

 現実のガン放射線治療では、1日1回、週4~5回の分割照射が行われ、1回の線量は2グレイ程度、これを、正体の分かった放射線で、患部に焦点を絞って当てていくことで、ガン細胞を根本的に退治してしまいます。

 普通の私たちの細胞も傷つきますが、これは免疫系が働いて修繕します。しかしガンの方には修復する免疫系がありませんから、私たちの自然治癒力が勝っている限り、放射線は(抗ガン剤などと併用しながら)高い治癒実績を持っているわけです。

 放射能には致死的な照射量があります。しかしそのことによって、ガンの根治という医学的に非常に強い力を発揮することもできる。むやみに威力を恐れるばかりでなく、こうした面にも目を向けて正しくつきあっていくことが、非常に大事だと思います。

 1986年のチェルノブイリ原発事故では、揮発性の物質であったため、放射性ヨウ素131が大気中に拡散し、多くの人がこれを身体の中に取り込んで「内部被曝」してしまいました。

 いったん身体の中に取り込まれると、ヨウ素は甲状腺に集まるという傾向があり、放射性ヨウ素131も喉の甲状腺に高い濃度で集積されてしまいます。

 ヨウ素131の半減期は約8日と短いですが、食べ物などを通じて新しい放射線源が供給され続ければ、甲状腺は常に電子線のアタックを受け続け、ガンの発症率が高くなってしまいます。

 このことがあまりよく知られていなかったチェルノブイリ原発事故当時は、特に「小児ガン」が多発して、多くの子供が犠牲になりました。

 九死に一生を取りとめて甲状腺ガンを克服した人は、喉から甲状腺を摘出する手術を受けるために跡が残り、これが「チェルノブイリの首飾り」と呼ばれているそうです。

 一度体内に取り込まれた放射性物質は、あとでお話しする「半減期」程度の時間をかけて半分半分に残量が減っていきます。

 そこで、ある瞬間に体内に取り込んでしまった放射性物質が、その後の全人生で、その人の体の中でどれくらいの悪さをするか、を疫学的に推定した「預託実効線量」という被曝量の見積もりが出ています。

 これも、今まで数多くの患者さんの症状例から得られた貴重な知識です。

 例えば、ヨウ素131は粉ミルクや水の形で経口摂取すると

2.2×10-5(mSv/Bq)* (*ヨウ化メチル以外の化合物として)

 また空気中にあるものを蒸気として吸引すると

2.0×10-5(mSv/Bq)

 の換算比率で、長期的に人の身体に害を及ぼす可能性があります。

 この長期的な時間幅として赤ちゃんには70年、成人には50年の余命を考えて上の数字は定められています。疫学的な平均値です。しかしヨウ素131の場合は半減期が8日ですから、1回に摂取した分については3カ月もすればほぼすべてが消えてしまいますが。

 さて、これを具体的なケースで考えてみましょう。例えば、赤ちゃんのミルクは100Bq/kgが日本国内の暫定基準値となっています。いま赤ちゃんが1キログラムのミルクを飲んだとすると

100(Bq/kg)× 2.2×10-5(mSv/Bq)= 2.2×10-3(mSv/kg)= 2.2(μSv/kg)

 このミルクを1キログラム飲むと、赤ちゃんは3カ月ほどの期間を通じて約2マイクロシーベルトほどのベータ線に体内被曝することになります。

 人の健康に大きく影響が出る被曝量は1シーベルト単位、通常人の年間許容被曝量が1ミリシーベルト、放射線を扱う専門家の年間被曝許容量が1年に50ミリシーベルトであることを思い出すと、暫定基準量のミルクは1キログラム当たり「100万分の2シーベルト」程度の量になります。

 ですから、このミルクを仮に100キログラム飲んだとしても「100万分の200シーベルト」つまり「1万分の2シーベルト」(0.2ミリシーベルト)で、ほとんど影響がないと考えられるということだと思います。

 同じように、大人の食べ物の被曝線量も考えておきましょう。ホウレンソウなどの暫定基準量は1キログラム当たりヨウ素131が2000Bq以下になっています。

2000(Bq/kg)× 2.2×10-5(mSv/Bq)= 4.4×10-2(mSv/kg)= 44(μSv/kg)

 ホウレンソウを1キログラム食べた時に、通算して被曝する可能性のある積算量44マイクロシーベルトは、100万分の44シーベルト、つまり0.044ミリシーベルト程度なので、仮にこのホウレンソウばかり22キログラム食べ続けて、やっと1ミリシーベルトになる程度です。

 普通の健康な人に大きく問題が出る値ではないと察しがつきます。

 逆に、危険な例も検討しておきましょう。不溶性の酸化物の形でプルトニウム239を吸引してしまうとします。預託実効線量の係数は

8.3×10-3 mSv/Bq

 なので、仮に1ベクレル、つまり1回、吸い込んでしまったブルトニウム239が崩壊すると

1 Bq ×8.3×10-3 mSv/Bq = 8.3μSv

 となります。仮にプルトニウムを100ベクレル分吸引してしまうと

8.3μSv × 100 = 0.83 mSv

 で、すでに年間許容量の1ミリシーベルト近い値になってしまいますし、2000ベクレルであれば

8.3μSv × 2000 = 16 mSv

 というかなりな線量になってしまいます。体内被曝は物質ごとに細かく考える必要があります。

 でも・・・それでも、いま政府が強弁して認めてしまいつつある20mSvには及びません。今回の「政治的判断」を下した人が誰なのかは、おいおい明らかになると思いますが、この決断に政治生命をかけるべきものと思いますので、この撤回とともに永久に政界を去って頂くのが正しいと、科学の観点から私は思っています。

キュリー夫人の死因は何?

 このように、十分な注意が必要な体内被曝ですが、これもまた管理された形で用いれば医学的に効力を発揮します。

 「小線源治療法」と呼ばれるもので、口腔ガン、舌ガン、乳ガン、前立腺ガン、子宮頸ガン、食道ガン、肺ガンなどに適用される治療法です。

 慎重にコントロールした放射性物質を厳重に密封して直接体内に挿入し、ガン細胞に必要なだけ「体内被曝」でダメージを与えてから、再び取り出す、という方法で、ピンポイントに高い治療実績を上げているとのことです。

 内部被曝の問題を考える時、どうしても思い出す逸話があります。

 パリ大学の中にはマリー・キュリー夫人の生前の研究室がそのまま博物館として残されていますが、手書きの論文やキュリー夫人の指紋からも放射能が検出され、いまだ放射能の健康への影響が知られなかった時代、手作りで核物理学を建設した先駆者が、どれだけ多くの線量を浴びていたかを物語る逸話になっています。

 キュリー夫人の料理の本からも放射性物質が検出されているそうです。しかし最晩年の彼女は肺などに異常が見られず、再生不良性貧血で亡くなっています。

 つまりキュリー夫人の死因は外部被曝によるもので、料理などに当たって、体内への物質の取り込みがないよう、細心の注意を払っていたことが、死因から分かるわけです。

 一方、彼女の夫で、ともにノーベル物理学賞を受けたピエール・キュリーは馬車に轢かれ、若くして命を落としてしまいました。

 同世代の他の多くの核科学者が素手で線源に触れており、ヴィルヘルム・レントゲン、アンリ・ベクレル、その他多くの先駆的科学者たちが内部被曝の結果と思われるガンで命を落としましたが、マリー・キュリーはそうではなかったのです。

 初期の核開発に絶大な貢献をしたイタリアの物理学者エミリオ・セグレは、まだ一切の放射医学の知識がなかった時代にこのような生涯を生きたキュリー夫人を、実験物理学者の模範として褒め称えています。

 が、放射線の曙を開いた科学者たちの名誉の死と、福島や近隣諸県で暮らすごく普通の罪もない子供たちとは全く事情が違います。

 政府がどのように狂った基準を設けても、現場のリスクは髪の毛一本ほども変わることはありません。

 住民の一人ひとり、あるいは地方公共団体がしっかり目の前を見据えて、安全と健康を確保していくしかない、何とも困った状況になってしまったと思います。
JBプレス http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/6537




 
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